なぜ、「いぶいぶフェス!」か

(文責:五郎茶屋店長/QUALIAボーカル ゆき)



入り口の見えない店が好きだ。ワクワクする。

どんな人がいて何が行われているのか、知るには扉を開けるしかない。それはまるで、プレゼントのようだと思う。ツイッターやフェイスブックで調べれば、行ったことのある人が情報を流していることもあるだろう。しかし、そんな野暮なことはしない。中身の知れているサプライズプレゼントほどつまらないものはない。


さて、箱を開けたら何が出てくるか。


成功することもあれば失敗することもある。自身が求めていた洋服店そのものであることもあったし、マスターから陰謀論を3時間半ほど聞かされたバーもあった。世の中には本当に色々な店がある。

私のいる店「ボードゲームカフェ&バー五郎茶屋」も、入り口が見えない。

外からは分からないが、中にはたくさんのボードゲームが置いてある。およそ200種。これでもボードゲームカフェとしては少ない。

ボードゲームカフェとしては、と言ったところで、そもそもボードゲームカフェというもの自体、知名度が低い。さらに言えば沖縄のボードゲームカフェは、なぜか入り口が見えない店ばかりだ。サイコロ堂、地下。カッパのお城、2階。toitoitoi、2階。当店、五郎茶屋は3階。1階がいない。どいつもこいつもシャイなのだ。


このような中身が見えないものに対し、人はどんな反応をするか。


「見せたくないものがあるに違いない」と疑うことがある。

今、読んでいてドキッとした人は、どこかボードゲームカフェというものに懐疑的だったのではないだろうか。

実際、入店するなり「賭博とかできるところですよね?」と聞かれたこともあった。「もっとアンダーグラウンド感のあるところかと思ってたのに健全でガッカリした」と言われたこともある。ボードゲームカフェは、断じてそのような店ではない。当店の内観写真をご覧いただこう。

五郎茶屋内部写真

色とりどりなボードゲームが並べられている。どれを遊んでもいい。心が躍らないか?

選択肢が多すぎて何を遊んでいいか分からないときは店員に聞けばいい。そのための時間料金なのだから遠慮はいらない。1人で来ても、他の客と同卓できる。なぜならこのカフェにいる人々の目的は「ボードゲームを遊ぶこと」だからだ。共通の目的を持っていて、同じものを面白いと思う同志と触れ合うことは楽しい。会話に困ったとしても、目に入ったボードゲームのことを話しておけば間は持つので気が楽だ。

私もこの恩恵を受けている1人だ。接客業をやっていてボーカルをやっている私は、対話が得意だと思われがちだが、口下手な人間だ。近くにボードゲームか音楽か漫画アニメの類が近くにないと、何を話していいのか、まるで分からない。典型的な筆弁慶。そんな私でも気楽に過ごしている五郎茶屋という場所。

何も気負わず、飲み物とボードゲームがたくさんおいてある友人の家にでも来たような感覚で遊びにきてほしい。子供はもちろん、「遊ぶ、って、なんだっけ?酒を飲むこと?食べること?」となってしまっている大人こそ、心から楽しめるはずだ。

この文章を読んで、ボードゲームカフェに持つイメージは変わっただろうか。貴方が少しでも楽しめそうだと思ったのなら、私は嬉しい。このイベントでボードゲームカフェの存在を知ったものの、おっかなくて嫌厭していた方の印象が変わったなら、それだけでこの文章は書いた価値がある。

そして中身が見えない結果、勝手なイメージが先行してしまいがちな場所を、私はもう1つ知っている。


ライヴハウスだ。


高校時代、私は軽音楽部でガールズバンドを組んでおり、先輩たちのライヴを観にライヴハウスへ行くこともよくあった。

当時、帰り道を一緒にしていた友人がいたのだが、週末にライヴハウスへ行く話をしたところ「怖くない?」と心配そうに言われた。なぜそう思うのかと聞いたところ、彼女のイメージでは「コウモリとか食べる」「なんかタトゥーがいっぱい入った人が殴ってきたりする」とのことだった。

前半はどこぞのオジーオズボーンか、と思わず失笑してしまったが、後半はあながち間違いでもない。というのは、心を、魂を殴りつけてくるようなパフォーマンスを魅せつけられることがあるからだ。揺さぶる、どころじゃない。撃ち抜かれるくらいのパワーを持つアーティストもいる。しかし──

この衝動をブチ撒けたような演奏は、ライヴハウスでしか観られない。

もちろん、アリーナやホール、ドームの良さというのはたくさんある。圧倒的人気を誇るアーティストしか立てない舞台ならば、たとえ遠くから見るだけでも価値はあるだろうし、豪華な演出や衣装も期待できる。多いに結構。私も好きだ。同じツアータイトルにも関わらず、遠征までして3回観たこともある。

一方で、ライヴハウスにしかない魅力もある。小さな箱の中、距離の近い演者。全力をかけるアーティストたちの熱気がビリビリと肌に感じられる。感情という実態のないものに手が触れそうな感覚。この感動は、広大なエリアでは限られた場所でしか得られない。ライヴハウスでは、誰もが同じ熱情に包まれる。どこにもない一体感。それが時にひどく心に、身体に響く。

一体感を作るのは、何も演者だけじゃない。観客席から作り上げられることもある。全員が拳を突き上げれば、波を作れば、飛べば、それもまた一体感。タイミングなんか間違えたって別にいい。この場を楽しもうという気持ちが団結していれば、皆が楽しくなる。演者も気持ちが高ぶり、より良いパフォーマンスを見せてくれるかもしれない。全員の距離が近いからこそ、気持ちが伝染してゆくスピードは早い。この伝染が長く続くライヴほど、良いものになる。これが、ライヴハウスの魅力。

そうだ。こんなにも、ライヴハウスはおもしろい。そして、同じように、ボードゲームもおもしろい。

にも関わらず、どちらも知らない人がいることは確かだ。

でも、気持ちは分かる。誰だって「初めて」は怖い。知り合いがいないとなおさらだ。



それなら私が橋をつなぐ。



だから、貴方にも付き合ってほしい。

実は私は、クラブに行ったことないのだ。私自身、レッテルを貼っている側だ。ライヴハウスよりもクラブのほうがなんだか怖い。銀杏BOYZは「DJに捕まって便所でセックス最高」と歌っているし、マキシマムザホルモンは「ババアガンギマリ」と言うし、King Gnuも「どんちゃん騒ぎ」だと。なんて怖い場所なのだ。口下手な筆弁慶が行っていい場所ではない。……と、考えているが実際は違うかもしれない。ボードゲームカフェが賭博場ではないように。ライヴハウスは出演者がコウモリを食べる場所ではないように。だから私はここへ飛び込もうと思う。かといって、そんなに肝の据わった女でもないので、まずは信頼のおけるDJと、自分のホームグラウンドで。少しずつ、新規開拓だ。


新しいことを始めるのはワクワクする。入り口の見えない店のように。


とはいえ、ライヴハウスに関して言うと、知らないバンド、かつオリジナル曲ばかりのライヴが初めてというのは、ハードルが高いと思われる。どんな曲調で、どんな風に動けばいいのかが分かりにくい。

そこで今回の「いぶいぶフェス!」は「アニメソング・ボーカロイド」のコピーバンドという縛りの中で選んだ。バンド紹介を読んでいただければ、どんな曲が聴けるかも多少の予想はつくはずだ。もちろん、予習しなくても楽しめるバンドばかり。期待していてほしい。

五郎茶屋でも、「早押しクイズ大会」や「実体験型謎解きゲーム」「はじめてのボードゲーム」と、普段あまり行わないイベントも多数用意し、当店初のアルバイトスタッフもいる。私が1人でいるいつもの五郎茶屋を知っている方も、安心して来場してほしい。忙しそうだから、などの遠慮はいらない。むしろ忙しくさせてほしい。秋の売上があまり芳しくなかったので、よろしく頼む。

少し話がそれてしまった上に本音も漏れたが、要は「いぶいぶフェス!」は貴方の知らない世界に触れ、楽しめるイベントにできるよう、現在進行形で励んでいる。はじめてのボードゲームカフェ。はじめてのライヴハウス。はじめての早押しクイズ。はじめての実体験型謎解きゲーム。

 

ここへ貴方を連れ出したい。


はたして貴方は何を見つけるだろうか?

新しい仲間かもしれないし、趣味かもしれない。あるいはまったく別のものかもしれない。どれにしても、とても素敵なことだ。

少し早いが、クリスマスプレゼントを差し上げたい。押し付けにも近い。ええい、受け取れ、という気持ちだ。小さな五郎茶屋ギフト(1時間¥1,000ウェルカムドリンクつき)でもいいし、中くらいの桜坂セントラルギフト(いぶいぶナイト!前売¥1,200/当日¥1,500)でもいいし、特大ギフト(2会場通し券前売¥3,500/当日¥4,000)を選ぶのもいい。特大ギフトを選んでくれたら本当に嬉しいが、どれを開けても楽しいものにする。


どうか私からのプレゼントを受け取ってほしい。

箱を開けたら何が出てくるかは、貴方次第だ。



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